POEM

×SEA




巨体を翻し
ビルほどの高さの飛沫をあげ
君は息をした

君のように美しく生きるには
どうすればいい

君ほど広い心を持っていても
海中響き渡るほどの大声で泣くんだな

私は君には似つかないが
息をしてもいいか
涙してもいいか

君にとっては小さなことか


動力

お前の船の一部になりたい
できれば動力がいい

嵐に沈んだりしない 鮫にも喰われやしない
限界が来たって動き続けて
海の果てまで乗せていってやるから
どこまで行くのか教えてくれよ

何か力になれないか
どうにかお前の力になれないか


×NIGHT


夜は暗いまま

陽光のまばゆさに
仄暗きは怯えている

弱さや醜さ 生々しさなどは
ここにふさわしくないのだ

陽光のまばゆいかぎり
強くあらねばと思う

穏やかな夜に安堵する
体を横たえ 目を閉じ 深く息ができる

何も見えず 何も聞こえないが
湯に浸かるように
胎内で眠る赤子のように
安堵している

むやみに照らさず
たらしめず
醜さに寄り添う
弱者のための夜

暗いままの夜

遠出した日の夜
初めてを越えた夜
枕を濡らす夜
終戦の夜


×SADNESS


あなたの哀しみ

私はあなたの哀しみ

孤独と似ているが違う
誰かと別れてひとりになったときに
私は訪れる

寒さと似ているが違う
春を待ち侘びているときに
私はあなたの側にいる

憎しみと似ているが違う
本当は愛したいから
私はあなたと泣いている

私はあなたと共にある
あなたが私を飲み込んだとき
私は形を変えて
あなたの物になる

誰かのぬくもりに似ている
春の祝福に似ている
愛の在り方に似ている

私はあなたの幸福


Illustration
Illustration